視覚と聴覚の両方に障害のある人たちのことを「盲ろう者」といいます。ヘレン・ケラーのような人といえばわかるでしょうか。
日本国内には約2万4千人、愛知県内には800人いると推定されています。
盲ろう者は、重複の障害のために人とのコミュニケーション・一人での外出移動が困難です。そのために外部とのつながりが持てず、孤独環境にある盲ろう者も多くいることが想像されます。
視覚と聴覚の障害程度により4つのタイプに分類されています。
全盲ろう
まったく見えず、まったく聞えない
全盲難聴
まったく見えず、少し聞こえる
弱視ろう
少し見えて、まったく聞えない
弱視難聴
少し見えて、少し聞こえる
盲ろうになるまでの経緯も様々です。障害発症の順序によって分類されます。
先天盲ろう者
生まれつきまたは乳幼児期に視覚と聴覚に障害が発生した盲ろう者
盲ベース
先に視覚に障害があり、のちに聴覚にも障害が発生した盲ろう者
ろうベース
先に聴覚に障害があり、その後、視覚にも障害が発生した盲ろう者
後天(中途)盲ろう者
健常の状態から視覚と聴覚に障害が発生した盲ろう者
盲ろう者は障害の程度、経緯、さらにその人の生育歴や教育歴などによって、コミュニケーション方法が異なっています。
盲ベースの盲ろう者の場合、点字を用いる人が多いですし、ろうベースの盲ろう者の
場合は、手話を用いる人が多いです。
また発信する方法と、受信するコミュニケーションが異なる場合もあります。
盲ろう者一人ひとりが残存能力を活かしたコミュニケーション方法を用いています。
筆記
紙に文字を書いて筆談の形で行う方法です。パソコンのワープロ機能を使った方法もあります。
盲ろう者の見え方にあわせ、文字の大きさ、太さ、色を調整します。最近ではタブレットも活用されています。
音声
盲ろう者の聞こえやすい声の大きさ、スピードにあわせて話します。
耳元で話す・補聴器にマイクを連動させる方法などがあります。
盲ろう者はこれらの方法で支援者から通訳を受けたり、同じコミュニケーション方法を持つ相手とは直接会話をすることができます。
一人で外出したり、他者との交わりが困難な盲ろう者にコミュニケーションを用いて、
情報提供と移動介助を行うのが“盲ろう者向け通訳・介助員”です。
盲ろう者が主体的に自己決定しながら、社会生活を送ることが出来ることを目的としています。